笊の水汲み あるいは日々の猫 ーfixxによるブログ的な何かー

2009年11月17日(火) 14:31

「(仮称)荒川区良好な生活環境の確保に関する条例」について

(仮称)荒川区良好な生活環境の確保に関する条例

さまざまな場所で意見が取り交わされている荒川区の条例。
パブリックコメント募集の条例案の状態であるにも関わらず、すでに成立したかのように勘違いしている人も多いらしい。(「罰金刑ができたから通報してやる」と脅した事例が東京新聞のHPに載っていた)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008102502000218.html

荒川区のサーバーにある条例骨子は、PDFでA4用紙5枚、この件を考える方は最低これだけは読んだほうがいいと思う。
http://www.city.arakawa.tokyo.jp/a001/pdf/d02400072_3.pdf

本条例案の規制の対象は骨子、2定義の「(5)えさやりによる不良状態」を引き起こすものを指している。ちょっと長いが、丸ごと引用。

(5)えさやりによる不良状態
 次のいずれ かに該当するものにより周辺住民の生活環境に係る被害が生じていると認められる状態であって、かつ、複数の周辺住民からの区長に対する苦情の申出等により、周辺住民の間で共通の認識となっていると認められる状態をいう。

ア えさやりによるえさを目当てに集散する動物の鳴き声その他の音
イ えさの残さ又はえさやりによるえさを目当てに集散する動物のふん尿その他の汚物の放置又は不適切な処理(以下「放置等」という。)及び当該放置等により発生する臭気
ウ えさやりによるえさを目当てに集散する動物の毛又は羽毛
エ えさやりによるえさを目当てに集散する動物の威嚇行為

考え方
*「えさやりの不良状態」については、具体の生活被害が発生し、かつ、複数の住民からの申出等があり、住民間の共通認識となっている場合に限り対象とすることとして定義しています。
*「廃棄物等」には、廃棄物だけではなく、雑草、枯れ草又は樹木が含まれています。

 ここでいう住民間の共通認識うんぬんを判断するのは、第三者機関である「(仮称)荒川区生活環境審査会」(7項)で、委員は区長が委嘱する学識経験者5人以内。
 この審議を経て、条例違反と判断された場合は勧告や命令(違反者には5万円以下の罰金)、それに付随する立入調査(妨害や虚偽申告には10万円以下の罰金)、代執行等(費用は違反者から徴収)となるワケだ。

 ほとんどの場合、条例に関した訴えがあってからのアクションは審査会の判断に準じて行われる事になるため、このメンバーがかなり重要になる。というより、審査会のサジ加減で白黒が決まってしまう恐れもある。
 さらにいえば、動物愛護管理法の精神にかんがみ、えさやりを禁止する事例が出た場合の善後策に対する目標規定くらいは明記されているべきだろう。
(例えば、ボランティア団体による対応のあっ旋や、動物を傷つけないための猶予期間の設定など:まあ、あっ旋されただけじゃボランティア団体が困ってしまう結果にしかならないけど)

 弾力性を持たせた運用にしたいのだろうけど、こういった条例で怖いのは、不適切な条例運用だけでなく、条例を心理的な後ろ盾にした動物保護への妨害や脅迫だと思う。
 現に条例案でしかない現在でも、いやがらせ行為が発生しているわけで、これは行政側(およびマスコミ等)が説明責任を十全に果たしていない証左といわれても仕方ないだろう。関係者各位には、現状を深く受け止め、可及的速やかに対応していただきたい。
 というのも、えさやりや不妊手術を行っている人たちには、身銭を切っている人が多いからだ。下手をすれば本来行政が負担すべき金銭や労力を肩代わりしてきた人間に石を投げる結果ともなりかねないのではないかと思う。
 もちろん動物による不快な環境被害を受けている人の悩みも深刻だ。行政は両者の仲介となるべく努力すべきであろう。

 つまり、条例案の状態でこんなんじゃ、とっても不安なんだよ、ワタクシは!

written by fixx [備忘録] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント()] [TB()]

この記事へのトラックバックPingURL

Comments

TrackBacks

笊の水汲み あるいは日々の猫 ーfixxによるブログ的な何かーcattail & halhmoon