笊の水汲み あるいは日々の猫 ーfixxによるブログ的な何かー

2009年11月17日(火) 14:31

夢うつつ



土曜日の午後、やや風邪っぽいのを知りつつ撮影にでかけた。
水辺の兄弟たちがいる河岸で、急に体がつらくなり、護岸に横になる。
陽で暖まったコンクリートが心地よい。
水気を含んだ川風が眠気を誘う。
と、はるか遠く、河岸の河口付近で手を振るひとがいた。
見慣れない紺色の上下を着た人を、なぜだか私はK氏だと思った。
かつてこの河岸にに住み、今年初めに亡くなった水辺の住人である。
それほど親しかったわけではなく、会えば会釈をする程度の間柄だった。
手を振ったひとは、そのまま河口の角を曲がって消えた。
そのとき私は目を開けた。
そこには、わずかに曇り始めた夕暮れの空があり、
私はひとりきり。河口に人の気配などなかった。
水辺の兄弟猫が私を取り囲むようにして香箱を作っている。
手を伸ばすと、なかなか慣れなかった3匹のうち、1匹が初めて私のひざに乗り、のどを鳴らした。
ここはK氏の住まいのあった場所、この猫たちは彼の飼い猫だった。
風邪の熱が見せた夢にすぎないだろうが、不思議な感覚が川風のように通り抜けていった。

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