笊の水汲み　あるいは日々の猫　ーfixxによるブログ的な何かー

縄張りにいても、どこか含羞んだ表情。
まだ馴染まない背景。

くたびれている暇はないよ。
跳びかたは体が知っている。
ゆくさきは瞳が捕えている。

こちらは猫の皆様の社交場です。
ヒトはご遠慮くださいませんか。

きらびやかな街の背筋、
夕暮れに迷い込む場所がなければ、
どんな夢も見ることはないんだって。

ありがとう。
きみたちがいなければ、どんなに痩せた光景ばかりになるだろう。
どれほど貧しい場所になるだろう。
少しだけ想像してみてください。
彼らのいない構図を。

飼い主が病気にならなければ。
いつも撫でてくれるひとが連れ帰ってくれれば。
だれか優しいひとが居場所をくれれば。
でも、
そんなことは起きなかった。
だから、もしもの話はこれでおしまい。
今夜はは冷えるから、ご飯をいっぱいもらったら、
枯れ葉の宿でゆっくりおやすみ。

南西の風が押し上げてくる水の匂い。
いさり火のような対岸の光。
自分ではないものによって、
際立たされてしまう輪郭。
影の側に身を置いて、
ただ大人しくしていたいだけなのに。

もう弟も一の姫もいない。
だからって、何もないわけじゃないのさ。

Solitaire…孤独。
ひとりがよりあつまると、
Solidaire…連帯。

くるくるとまわる水は生きている。
汲み置きなんかより、
生きている水のほうがおいしいんだ。

目指すところは、まだまだ高いみたいだ。