笊の水汲み　あるいは日々の猫　ーfixxによるブログ的な何かー

どこか遠い国のように、
呆けて現実感のない風景。
しかしながら、自分も
この一部であるには違いない。

考えてごらんよ。
思い煩っていることのために、
自分が存在しているのかどうか。
ほかのやり方がないのかどうか。

幾度も幾度も繰り返す。
空を見上げ、
立ち尽くし、
沈黙しながら。
少しづつ、少しづつ、
この時代に参加して行こう。

季節の美しさに
長い道のりが隠されている。
とまどいや不信や絶望をひそかに告げるため、
歩いていこう。

出発と立ち去るは同じ単語。
そこには距離がない。
夕暮れの河口と見入る瞳には、
遠い距離がある。

触れてみる。
知ることの楽しさと、
未知を失うことの
つまらなさ。

何もないと思うのは、
何かが足りないだけ。
すばしこい獲物に狙いをつけて、
跳ぶ用意をすればいい。

それほど大した場所へ向かっているわけではない。
その途中の、
景色が美しいと嬉しくなる。

いつのまにか、
懐かしいという気持ちを知る。
いま、ここにはないもの。
もういないものたちに向けた視線を。

ひそかに訪れる時代の危機は、
それだけで生き抜いていくための十分な理由になる。

夜に向かう。
しだいに形を変えて、
見知らぬものになる。
夜に入る。
あなたの数える数の中に、
もう私はいない。

異なるふたつを隔てる
あいまいな線を越えて、
投げ込まれた自分を見つける。

空気の層をくぐりぬけ、
どんどん進む。
何も残らなくても構うものか。
とどまらず、先へ先へ。

たとえ視線が交わらなくて、
ひとことの会話もなかったとしても、
僕らは時代を共有している。

見えないかもしれないけど、
そこに引かれた線がある。
つまらないものかもしれないけど、
踏まないでいてくれないかな。
それが同じ時代に生きるってことだろ？

どこかで逢いましたよね？
きっと、親しく話したこともありますね？
お互いに忘れたのは、
それが他愛もなく楽しかったからですね？

何気なく逸らした視線の先に、
見つけてしまうもの。
取り返せない光景。

いつのまにか世界が姿を変えているので、
自分の居場所を確かめるため、
ぐるりとまわってみる。
僕や君や、そのほか全て
いあわせたみんな、
一斉に。

今が嫌なわけではないけれど、
ここではないどこか、
何かが違う場所への道が
あると考えるのも悪くはない。

天を住み家とする者は、
きっと夢見ることはないだろう。
けたたましい叫びと押し合いで、
すっかり狭くなった空間をすり抜け、
ただ、どこかへ飛び去るだけ。
だから、青空のことなら
僕のほうがよほど詳しく知っている。